3Dプリンターでコスプレ用小道具を作ってみた話。

イントロダクション

ラプンツェルの杖・完成品
ラプンツェルの杖・完成品

みなさん、ブラックフライデーは何を買いましたか?
わたしはAnkerMakeの3Dプリンター(M5C)を買いました。
以下、感想と自分用のメモ書きです。

AnkerMake M5C 3Dプリンター 高速プリント 最大移動速度500mm/s 高精度 オートレベリング 簡単設置 DIY
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とりあえず、コミケでコスプレをするために背中で魅せるガンガールRPG(NIKKE)のラプンツェルの杖を作ってました(ガンガールなのに銃じゃないんか…)

つまづいた点や意外だったポイントなど

到着・組み立て

フィラメントと一緒に買ったらめっちゃでっかいダンボールできました。
置き配で頼んだりしたら場所によっては道を塞ぐかもしれない…
組み立てはつまづきませんでした。説明書で少しわからないところがあっても検索すればAnkerさん公式の組み立て動画があります。
他の方のレビューとかをみてみると、ここはAnker製を選ぶアドバンテージかも。

高さ100㎝弱くらいあった段ボール
高さ100㎝弱くらいあった段ボール

モデリングからデータ取り込みまで

わたしは趣味で3Dモデリングもしているので、Blenderは割と扱えます。
専門家…とは言いませんがVRChat沼に堕ちたりVTuberのガワの制作を2~3年していて、Blenderに関しては今回の制作には必要のないウェイト貼りやリギング設定を行って髪の毛などの揺れものを表現したり、UVやマテリアルの設定を行い色や光の反射具合も操作したりしていて、それを利用した動画の制作…なども理解している状態なので初心者ではないからチョロいだろ…と思ったらダメでした。

モデルデータの作成までは順調に進んでいき、3Dプリンタの製作限界サイズにあわせかつ強度がいい感じになるようにパーツごとに分割したデータを作成、それをOBJデータに変換…まではサクサク済ませました。
(久しぶりの予定のない土日だったのですが、土曜日中に制作してなんだったら日曜は寝ていようくらいの気持ちでした。)

…が、OBJデータをAnker用のソフトウェア(AnkerMakeStudio)に取り入れるところでエラー💦
何がエラーなのかはあんまり言ってくれないから少し試行錯誤でした。
どうやらかなりトポロジー的にもかなりシビアな(破綻の無い)データが要求されるみたいです。

エラーが出ている方はこの辺をチェックしてみて下さい。

  • 四角形以外の面はないか?

    わたしは適当に円柱追加でダボ穴をつくりまくっていたので、これが主な原因でした。例えば8角形の注をつくると上下の面はデフォルトだとそのまま8角形の面張りがされると思いますが…そのままにしていました。(わたし四角派なんですが…三角でできるかは未検証です)

  • 二重で貼られている面はないか

    こちらも通常、モデリングの際に気を付ける点ですよね。

  • 結合されずにスキマができてる面はないか。

    こちらも以下略ですね。初めてモデリングをする方向けに言うと、スキマができてなくても頂点が分離されている状態だとダメです。同じ場所にあるヤツは結合しましょう。

    こういうヤツ
    こういうヤツ

ひと言でいうと、3Dキャラクターモデリングと同じかそれ以上にシビアで、破綻している箇所が1か所でもあるとエラーを吐きます。
Blenderの特殊選択機能を使って面になってないヤツや3面だったり5面になってしまっている面を探して潰していきます。
正直ここ、最初から丁寧に作ればよかった…。

逆に、エラーの原因かなと思っていたけどエラーではなかったこと。

  • 原点に接地されてなくても大丈夫。

    →よしなにやってくれます。

  • 面の裏表

    →恐らく関係がない。気持ち悪いから揃えちゃうけど…

  • 保存・エクスポートする際の向き

    →関係ない。

プリントまで

サポート設定をしておくと不安定な立体物をプリントする際には自動で足場をつくってくれます。
ただ、この足場の分もプリンターの製作現在サイズに含まれるのでプリンター限界サイズギリギリでモデリングをしてた方は作り直しや分解が必要になります。

以上のハードルをクリアして覚悟をもって開始しましたが、やっぱり時間はかかります。時間を短縮に一番関係する設定は速度ではなく「レイヤーの高さ」のようです。(恐らくなんですが…AnkerMakeStudioの日本語訳だと「積層ピッチ」となっている項目)
ここが一度に出力されるフィラメントの高さの設定で、ここが2倍になれば完成までに必要なフィラメントを出す工程が単純に半分になるという事ですね。
最初、あんまり変わらないなぁ~と思って速度をいじっていましたがここを変更したら終了までにかかる時間が劇的に変わりました。
ここの値はノズルの大きさによって限度が決まります。
プリンターを購入した際についてくるノズルは0.2mmなのですが、細かい造詣ではなく遠目から見るコスプレ用の小道具なんかだと…0.4mmとか0.8mmでもいいかなと思いました。完成品にどの程度差が出るかはまだ分からないのですが…ここを変えれば時間は大幅に減りそうです(今度買おう)

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完成品について

全体的な完成度

3Dプリンターでできた製品、最初はスカスカみたいなイメージだったんですが、強度はかなり強いです。コスプレ用途だとこれ以上の強度はほぼほぼ必要ないんじゃないかなと思います。
倍速(レイヤーの高さを0.2mm設定)で制作したら少し荒い部分もあります。接近してみれるようにするにはやすりがけは必要かもしれません。
破綻してしまうことも数回ありました。これはわたしのモデリングが悪いのか設定を粗くしすぎたからなのか…でも正直コスプレ用途だったら作り直さなくてもまぁいっかってレベル(粘土で埋めた)。
棒と本体の間にネジ穴を仕込んで分解できるようにしたかったんですが、流石にここはちょっと強度が不安だったのでネジを絞めた上で固定をしました。

最初に作った部品は途中でおかしくなっちゃったので、粘土で埋めてます。
最初に作った部品は途中でおかしくなっちゃったので、粘土で埋めてます。

上手くいかなかったところ及び改善点

余り大きなものを作らない

大きいオブジェクトであるほど、途中で崩れてダメになる可能性が高いので適当な大きさに分割して作るのがベスト。
今回はプリンタの出力限界値を目安に分割していたのですが、次回はもっと細かいパーツに分けるべきだなと思いました。
完成度も恐らくその方が高い。

空洞のあるオブジェクトは作らない

円柱の空洞の中にネジを仕込んでその円柱サイズよりも一回り小さな円柱にネジ穴を仕込んで完成後も両者を分割・結合できるように…と思ったのですが、うまくいきませんでした。
原因はプリントの際に崩れないために設定すればプリンタが自動で足場を作ってくれるのですがその足場を剝がすには円柱の中に何かを突っ込んで取り除かなければならず円柱のサイズによっては取り除くのが難しかったです。

ダボ穴をつくる

最初は凹凸のある円柱を作成して接続するようにしていたのですが、これまた足場ができてしまい余計なフィラメントを消費-するのである程度大きなオブジェクト同士の接続には凹×2(メスメス)で作成して間にダボを挟んで接続しようかなと。

オーバーハングが生じるようなオブジェクトも作らない

底辺よりも突き出した状態の面を作成すす場合もプリンタが足場を作ってくれるのですが、この足場がわりと強力で簡単には外せない仕組みになっています(これ設定とかで変えられるのかな…)
うまくプリントできてもヤスリがけが必要なので、これも分割して2つのオブジェクトにして後で接着…という形が一番きれいにできると思う。

プリントできる最大サイズについて

プリントできる最大サイズはこの足場も含めたものなので、ひとまわり小さめに。

フィラメントがうまくプレートに張り付かない

スティックのり塗ったらキレイに張り付いた(非公式非推奨)

動作音・稼働時間について

動作音

思ったほどうるさくはないです。ドライヤーほどではない。
寝室にあったら嫌ですね…でも廊下に置いておく分だったら(普段から都会で車道に面した場所に暮らしている&睡眠についてはあまり神経質ではない)わたしはそこまで困らない感じです。
余談ですが、廊下に置いておいたらプリンタに「寒い!!」って怒られました。寒くて怒る機械…(ノズルなどを加熱する必要があるため)
同居している方がいたり、防音性の低いアパートとかに住んでいる方は夜は使わない方がいいかなぁ~。

稼働時間

しかしながら、やはりそれなりものを作るには半日は動かしている必要があります。その点、リモートワークができるわたしには向いているなと思いましたが、土日しか家にいれない…って方はあまり製作が進まないかもしれません。

終わりに(+蛇足)

使ってみた感想など

やっぱり技術すげーなという印象。
私的なことをを言えば、掃除とか片付けが苦手なのであまり物を出したくないんですよね…しまえないので(笑)

上級者からしたら様々な要因が予想できるのだろうけど、初級者からすると「機械のご機嫌」としか思えない理由で成功したり失敗したりします。
分割箇所の変更や面の変形など試行錯誤して、以下にこの成功率を高めるか。「機械のご機嫌」というブラックボックスに何が入っているかを予測しながらのトライ&エラーが好きだったり苦ではない人、やっぱり要はエンジニア気質の人向けかなと思います。

だけどわたしはコスプレ衣装やコスプレ用小道具製作で部屋を1度散らかしちゃうとなかなか元に戻せない性格なのでできるだけ部屋は散らかしたくない。おまけに(一応ギリギリで)都会住みだと思うので、コスプレ衣装を作るためだけの部屋…なんてものはない。
加えて、仕事はもちろん趣味や息抜きを含めて起きたらPCつけて寝る時にPC消すような生活…なのでPC(Blender)上でコスプレ用の小道具がつくれるという環境はわたしには向いている気がします。

道具製作についてはもうすぐこれがスタンダードになるかなー…と思う一方で「〇〇の剣のコスプレ用3Dデータ」みたいのがネットで流通する世界への懸念は少し感じます。(いやまぁ、ファンメイドであるべきコスプレ衣装が大量生産&販売されてるのは3Dプリンタ以前からの現象なのですが)データの形で大量流通されてしまっては流石に公式さんも嫌だろうな…とは思います。ゲームからのぶっこ抜き…みたいなことをする人はいないと信じたい。

蛇足

写真映えは十分な気がします
写真映えは十分な気がします

という訳で、これをあと1週間で塗装してコミケに持っていきました。
ちなみにコスプレしたのはラプンツェルですが、年末はシンデレラの衣装ガチャで金を溶かしました…いや、どうしても青い目のシンデレラに着せ替えたくて…

口がちょっとωなのも可愛い。でも衣装ルーレットは大体天井なのでお金が簡単に吹っ飛びます。
口がちょっとωなのも可愛い。でも衣装ルーレットは大体天井なのでお金が簡単に吹っ飛びます。